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食事:ドリアンとお酒

作・廣田晃一:2003/02/10


【質問】 ドリアンとアルコールを同時に飲食してはいけないというのはホントウですか?

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【解答】 ウソです。これは、タイやシンガポールで広く流布している食い合わせに関する言い伝えのようで、インターネットで検索すると、日本語でも英語でも山のように出てきます。タイ語では多分もっと多いかもしれません。
 この話が初めて文献に現れたのは、1923年のGimletteの"Malay Poisons and Charm" (Cures, p.12, London: Churchill.) のようで、かなり古くから知られていたようです。1941年に、実際にドリアンとアルコールを大量に飲食した直後に急性出血性膵炎で死亡した女性の症例報告(Singh, P (1941): "A case of acute haemorrhagic pancreatitis following consumption of durians and alcohols." J. Malaya Branch B. M. A., 5: 62-63)が出ており、おそらくはそのせいで、この言い伝えにより信憑性を加えることになったのでしょう。
 しかし、現実には、この食い合わせを実際に試して死亡した例は上の例以外には知られていないわけですし、逆に何ともなかったという報告はインターネット上に多数あります。それらは学術論文ではないので信憑性が低いかもしれませんが、みんながみんなウソをついて騙そうと、やってもいないことを報告しているわけではないと思いますから、実際この食い合わせだけが原因で死亡することはないといっても差し支えないと思います。
 科学者というのは奇特なもので、これを実験的に証明した人もいます。彼らによると、二十日ネズミにドリアンとアルコールを摂取させたが、どちらかだけの場合と特に変わりはなかったということです。ただ、ドリアンを摂取してから2時間後にアルコールを与えると、アルコールだけを与えた場合に比べて眠りに落ちるネズミが半数に減ったので、もしかしたらこれは胃がむかむかするからか、それともアルコールの吸収がドリアンのせいで抑制されたのか、とにかく眠れなくなってしまったのかもしれないと考察しています。しかし、いずれにせよ、人間に換算すれば6ポンドものドリアンを食べさせられても、一匹たりとも死ななかったので、この食い合わせが原因で死ぬというのは全くの迷信であろうと結論付けています。(Ogle, C.W., Teh, Y.F.(1969): "Durian and alcohol - a preliminary report." Singapore Med. J., 10: 288-290)。


 ちなみに、食い合わせといえば、「うなぎと梅干し」が日本では有名ですが、国立健康・栄養研究所がこれを実験的に否定したという「都市伝説」があります。この伝説の作者の方に直接問い合わせて出典を確認したところ、確かに、その本には戦前のことと前置きしてその通りの話が載っていました。本の編者は、岩尾先生という昔栄養研の部長をしておられた方なので、かなり信憑性は高いといえます。
 とはいうものの、この本以外に実験に言及したものは現在までひとつも見つかっておりません。与太話というわけではないとしても、ネズミ事件のようなちょっとした悪戯の類だった可能性は充分あります。結局、正確なところはわからずじまいでした。
 個人的には、おそらく酒の上での馬鹿話がちょっとエスカレートしたに過ぎなかったのではと思いますが、どなたか事実をご存知の方がいらっしゃいましたらkhirota@nih.go.jpまでメールを下さい。



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