2018.1.11
, EurekAlert より: 
座って立ってまた座る…。座業中心性時間が長くなる人は、簡単なかつ戦略的な行動変化を行うことでこの様な動作を導入することができるというカナダ・ウェスタン大学の研究者らによる報告。
定期的な運動を行っていても、現代人の多くは1日あたり11時間の座業中心性時間を行っているというデータがある。この様な低活動量下では、ヒトの身体は十分に機能しないだけでなくて、様々な慢性的健康問題も引きおこされる。座業中心時間が長くなると心疾患や肥満、2型糖尿病やある種のがんなどのリスクが増加する、と最近のいくつかの研究から明らかになっている。しかし、新しいより健康的な習慣を現在の座業中心性活動の多い人々に導入することは難しい面もあると言うのが正直なところである。
研究では、座業中心性行動を、構造的な6週間のプロセスを通じて変更する事に成功したという。同時に禁煙やシートベルト着装の徹底にも、同じ戦略で有効性が見られたという。本研究では、その手順を用いて、対象者はより頻繁に休憩を取れるようになるもっとも良い戦略を、つまりタイマーや携帯電話のリマインダーなどで強制的に時間を設定したりすることなども含めて選択し、実施した。
6週間後の時点で、最初に設定していた合図をすでに対象者は習慣的行動に変えていた。平均で、90分の座業中心セッションをおこなっていた実験開始前に対して、6週間後では1時間あたり1回のブレイクを組み込むようになっていたのだ。終了2週間後の時点であっても、座業中心時間を少しでも減らそうという努力が見られた一方で、コントロール群では座業中心性行動ので改善の傾向は見られなかったのだ。
忙しい毎日を送っている現代人にとって、新しい行動を組み込んでいくことには躊躇してしまうことは自然なことである。そのためにダイエットや運動の決意が失敗してしまうことがままあるのだ。本研究では、職業的座業を単純に新しい行動を加える事によって減らすのではなく、代わりとなる作業を座業に変えて行う事によって従来の座業として使われていた時間を減少させているのである。
座業中心性行動が職業的に多い人々にとって、これらの生活習慣の置き換えは電話に出るために立ち上がる、水飲み休憩で立ち上がって歩く(何らかの用事のついででなく、度々行う)、eメールでの情報のやりとりの代わりに歩きながら立ち話をすることによってその時間を置き換える、などである。
椅子やカウチから立ち上がるための行動を何らかの形で置き換えて挿入していくことは、新しい行動を現状に付け加えるよりも簡便且つ現実的なのである。生産性という点では下がる可能性(もしくは却って上昇するかもしれない)があるが、立ち上がることによる健康効果はインパクトが大きいのである。
出典は『応用心理学:健康とウェルビーイング』。 (論文要旨)
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