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[病気]  サーカディアンリズムを無効にして生きながらえるがん
2018.1.11 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

腫瘍細胞は小胞体ストレス反応(UPR)を用いてサーカディアンリズム(概日リズム)を変え、これによって腫瘍成長を促しているようなところがあるという研究。サウスカロライナ医科大学の研究者らによって報告されている。このプロセスを体内時計の一部のカギとなる部分がこれに反対的な応答をするようだ。

腫瘍が成長し広がっていくためには、がん細胞は通常の量の核酸やたんぱく質よりも多くを作る必要があって、そのために自己増殖のプロセスを繰り返していくことになる。しかしながら通常の細胞とがん細胞でたんぱく質の合成は促進されるが、ごくわずかの分量のたんぱくは適切に折りたたまれない。このミスフォルディングが起こるとき、細胞は上記の小胞体ストレス反応(UPR)を起こし、これによって新しいたんぱくの生成がスローダウンしつつ、ミスフォルドされたたんぱく質が再度折りたたまれることになる。最終的には、これらミスフォルドされたたんぱくは毒性を持つようになり、細胞死へと達することになる。しかしながら、がん細胞は、ミスフォルドたんぱくの蓄積を処理するために、URPを必要に応じてたんぱく質合成を遅らせるために利用することを学習するのだ。これが通常細胞なら死んでしまうような状況であってもがん細胞自体が生き残ることに役立つのである。

このパタンの適応がしばしば腫瘍細胞に見られると言うことが研究から明らかになったのだ。腫瘍細胞がしていることは、細胞中にすでに存在しているパスウェイを使って、それを自身の生存のために利用しているということなのである。

しかしながら、どのようにして腫瘍細胞がこの様な能力を得てサーカディアンリズムに影響を与えるのかについては、正確な機序が明らかにはなっていなかった。研究者らによれば、UPRとサーカディアンリズムは関連しており、細胞の経時的変化を引きおこすとともに、がん細胞がUPRをサーカディアンクロックの操作に利用し、通常細胞にとって有害な状況をがん細胞の生存に結びつけているということなのだ。

まずはじめに、研究者らは細胞のたんぱく質合成について知られていることに基づいた新しい推論を構築した。既知のこととして、UPRは腫瘍細胞では変わっているということ、二つ目に、サーカディアンリズムを産み出す細胞は代謝を、環境的な光の有無のサイクルに応じて上下するようなある種のたんぱく質のレベルを生成することによって調整する。たんぱく質合成はサーカディアンリズムに関連しているので、研究者らはがん細胞においてミスフォルドされたたんぱく質がサーカディアンリズムを変えてしまうかどうかを検討したのだ。

最初の実験で、研究者らは骨肉腫細胞でUPRを活性化させる化学物質を利用した。これによると、活性化された場合、UPRはBmal1と呼ばれる重要なたんぱく質のレベルを変更させた。Bmal1は明暗サイクルに応じて上下する転写因子である。通常と同様に、このたんぱくは主要なサーカディアンリズム遺伝子の発現を調整する。細胞が光と暗闇にさらされたとき、Bmal1のレベルは暗いときにピークに達する。UPRが科学的に活性化されているときには、Bmal1は明るくても暗くても同じレベルになり、このサーカディアンリズムによる遺伝子発現を変えてしまったのだ。UPRメカニズムの主要なある部分が細胞に存在しない場合には、このような変更は起こらなかったのである。

次いで、研究者らはUPRが昼夜の真ん中にあるような状態を演じさせているようだということを明らかにした。つまり、これによってサーカディアンクロックが働かなくなるのだ。UPRの活性が増すとともに、Bmal1のレベルは減少し続ける。齧歯類による実験で、突然昼夜逆転が起きた場合には、Bmal1は上下動しなくなる。つまり、サーカディアンリズムが混乱してしまったことを示しているのである。昼光に対する曝露がこれら齧歯類の細胞においてUPRを活性化したのだ。

しかしながら、これらのことががん細胞の成長とどのように関連するのか。研究者らは乳がん、消化器がん、および肺がん患者で生き残った人たちにBmal1のレベルが高いことを明らかにしたのだ。myc転写因子の発現したがんでは、UPRはBmal1の損失を引きおこした。これによって腫瘍が成長したのである。myc転写因子発現の腫瘍では、サーカディアンリズムが失われた一方で、通常細胞の場合にはサーカディアンリズムが保たれたのである。反対に、高レベルのBmal1はUPRを乗っ取り、たんぱく質合成を持続させ、それによってがん細胞に有害な状態を導き出したのだ。つまり、Bmal1が直接的にたんぱく質合成を導いているということなのだ。

本研究は初めてヒトのがん細胞がサーカディアンリズムをBmal1を通じてたんぱく質合成をコントロールすることによって抑制することを明らかにした研究である。がん細胞はUPRを用いてBmal1を抑制し、サーカディアンリズムをショートさせることによって生きながらえるのである。この結果はヒトの生物学においては重要な知見である。個々の細胞がそれぞれサーカディアンリズムを有している事がわかっているのだ。細胞のサーカディアンリズムをリセットすることで、がん細胞の広がりを抑制することができるのである。

明暗サイクルの変更がヒトのがん細胞を増長させるだろうか? 本研究ではまだこのレベルの知見を有しているわけではなく、未だ不明確である。しかしながら、臨床家にとって現行の治療をより有効なものにして行く上で本研究の知見は有益であろう。医師はどのような治療法をどのようなタイミングで適応したら良いのか、その最適化を図ることができる可能性があり、通常細胞にとって有害にならないタイミングで抗がん剤を細胞に到達させる手法も可能になるのである。

出典は『ネイチャー細胞生物学』。 (論文要旨)      
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