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[運動]  アスリートはのどが渇いたときだけ給水すべきであるという新ガイドライン
2015.6.30 , EurekAlert より:   記事の難易度 1
  

競技選手からレクリエーショナル・アスリートまで。体内のナトリウム濃度が極端に低下(そしてパーフォーマンスも低下)して危険な状態になる事を防ぐ有効なアプローチは、のどが渇いたときに水分補給をするべきである、というガイドラインが米国で発表された。

マラソンランナーやフットボール選手、その他のアスリートの死亡原因として低ナトリウム症に起因するものが少なくとも14件はあるようだ。この低ナトリウム症は、水やスポーツドリンクの飲み過ぎによって引きおこされているようだという。この低ナトリウム症を予防するために、新しいガイドラインによれば、のどが渇くまで水分補給を控えるべきであるという勧告がなされている。

生得的な渇きを感知するメカニズムを身体は有しており、これによって体内の水分量の多寡がわかる。そのため、のどの渇きを基準にすれば、極端な脱水症状を予防しつつ、必要以上に頻繁に水分摂取をすることによる低ナトリウム症のリスクを低下させる事が可能であろう、と研究者は指摘する。

運動関連性低ナトリウム症(EAH)は極度に飲水を多くした場合に腎機能が低下し、水分排泄量が低下する事によって生じる。体内のナトリウムは血液などに希釈されて存在しており、水分量が増加することでその濃度は低下するのだ。これによって細胞のむくみが生じ、致命的な症状につながる可能性がある。

軽症度のEAH症状は頭がフワフワする感じがしたり、めまいや吐き気、皮膚腫脹や体重増加などガ上げられる。極度のEAH症状は吐き気、頭痛、焦燥感や混乱感、せん妄などの精神性症状、引きつけ発作、昏倒などである。

EAHはマラソン、トライアスロンなどの持久性競技において起こりやすく、さらに軍事教練やハイキング、フットボールなどでも発生する。またヨガやローンボウルズ(ボウリングの前身となったと言われる競技)でも起こりうるのだ。

しばしば、アスリートは水分補給を頻繁にするように促されてきた。例えば、のどの渇きを感じている時点でもう脱水状態だから、そうなる前に十分に水分補給をするように、といった指導はごく一般的に受け入れられているのだ。そのため、尿の色が無色透明に近い色になるまで水分補給を続けたり、選手の活動量とは無関係に定期的な水分摂取を「処方」するといった指導も行われてきた。しかしながら、やたらに水分摂取量を増やしたとしても、疲労感や筋けいれん、熱中症の予防手段になるわけではないのである。

のどが渇いたときにだけ飲むようにすれば、EAHを予防できるだけでなく、脱水を起こしてしまうこともないので、脱水によるパーフォーマンスの低下を恐れる必要は無いと安心して良い、と研究者はいう。

筋けいれんや熱中症は脱水状態とは無関係である、と研究者は指摘する。熱中症は発熱量が多くなりすぎるということが問題なのであって、水分摂取量が増えても発熱量が低下しなければ結局は起こってしまう。最も有効な対策は熱を下げることであって、水分摂取量を増加させて、ナトリウム濃度が低下することによって、危険な熱中症症状がかえって引きおこされてしまうこともあるというのだ。

EAHが発生する主要な原因は水分摂取量が多すぎることであり(俗に言う「水中毒(water intoxication)」)、その最も効果的な対策は水を飲まないことである、と研究者は指摘する。


適量適度な脱水症状は、健康的なアスリートであれば低リスクで耐えることのできる次元のものである。健康状態の良いアスリートであれば、体重の約3%までであれば、水分量を失ったとしてもパーフォーマンスを低下させることはなく、安全に競技を行うことが可能であるという。

本ガイドラインはEAHが3%のナトリウム溶液を用いた食塩水を補給することによって治療可能であるとしている。この溶液濃度は一般的な生理食塩水(0.9%)の約3倍強の濃度である。

アスリートや指導者は適切な給水計画を運動前後及び運動中を通じて講じなくてはならないが、飲ませすぎによる障害発生や死亡可能性についてもよく理解しておくべきであり、その点に対する認識はまだ十分になされているとはいい難い。EAHによる死亡は予防可能であるだけに非常に悲劇的なものであって、単純に自分の身体の声を聞くという手段を講じていけば防げるものであるのだ。脱水症状が原因となって死亡したアスリートはいなくても、EAHで死亡したアスリートは存在する。これまでの俗説や慣例に縛られることなく、根拠を持ったアドヴァイスを少しずつでも進めることが重要であると研究者は指摘している。

本ガイドラインは2015年カリフォルニア州カールスバードで開催された運動誘導性低ナトリウム症に関連した第3回国際コンセンサス形成会議において策定され、その会議名を冠して出版されている。

出典は『臨床スポーツ医学雑誌』。 (論文要旨)      
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