| ダイエット注意報 | 作成日 2003/10/17 |
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肥満女性のダイエットに効果的な運動の長さと強さ |
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このドキュメントについて: 長期間のダイエットにどのような運動が効果的であるかを検討した、ピッツバーグ大学のジャキシックらの論文(米国医師会誌290巻10号掲載)(1)を紹介します。食事制限をしながら、強度が中程度の運動を週150分以上するのがよいそうです。
T.はじめに
減量するときに、運動は重要な要素である。現在、米国疾病管理センター(CDC)では、活動強度が中程度の運動を一日30分以上、週5日以上行うのがよいとしている(2)。一方、米国アカデミー医学研究所では、活動強度が中程度の運動を一日合計60分、あるいはそれと同量の運動を行うことを勧めており(3)、どのような運動が長期的な減量に最適であるか、統一された見解はない。
そこで、ピッツバーグ大学のジャキシックらは、減量にあたってどのような運動が有効であるかを検討するため、過体重女性を対象に12ヶ月間の介入試験を行った。その論文(1)によると、それまでの研究はどれも6ヶ月未満の短期研究であった。ある研究では、体重には運動強度よりもエネルギー消費量が重要であるという結果が得られた(4)が、他方、12週間の減量には30分の運動と60分の運動では差がないという結果が得られている(5)。これらを受けて、ジャキシックらは、減量と有酸素能力に対する、運動の長さと強度の長期的影響について調べた。以下にその研究の要旨を記す。
U.ジャキシックらの研究
実験時期は2000年1月から2001年12月までの期間で、参加者は、条件(BMI 27〜40kg/m2、年齢21〜45歳、「運動不足」(過去6ヶ月間の運動量は一日20分以内を週3日以下)、その他医学的条件)を満たす女性201名。全員12ヶ月間の減量プログラムに参加した。始めの24週は毎週、その後は2週間に一度、グループミーティングに出席し、7〜12ヶ月目の期間には2週間に一度、約10分間の電話による介入が行われた。食事は全員一日1200〜1500calに抑え、総エネルギー摂取量の20〜30%を脂質から摂取した。
参加者はランダムに4つのグループ((1)強度:強/長さ:長、(2)強度:中/長さ:長、(3)強度:中/長さ:中、(4)強度:強/長さ:中)に振り分けられた。各参加者にはトレッドミルが渡され、運動は週5日行われた。0、6、12ヶ月目に、身長と体重が測定された。
実験の途中で4名が妊娠、1名が死亡、12名はその他の理由で脱落し、残り184名が12ヶ月の実験を達成できた。4つのグループの達成率、脱落者と達成者の年齢、体重、BMI、有酸素能力にも差はなかったという。
実験で得られたデータから、ジャキシックらは、体重変化に対する3つの因子(運動強度、長さ、および実験に参加してからの期間)を検討している。
実際に行った運動時間は、「長さ:長」群の方が「長さ:短」群よりも有意に長かったという(P=0.048)(図1)。
図1. 持続時間(分/日)
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グループ |
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試験期間 |
強度 持続性 |
強 長 |
中 長 |
中 中 |
強 中 |
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0〜6ヶ月 |
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38.9 |
38.7 |
36.1 |
32.4 |
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7〜12ヶ月 |
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42.4 |
48.9 |
43.6 |
33.7 |
実際の運動強度は、ボルグスケール(6)を用いた自覚的運動強度に影響を及ぼし、「強度;強」群と「強度;中」群で有意差が観察された(0〜6ヶ月、7〜12ヶ月ともにP<0.001)。実験に参加してからの期間を考慮した場合でも有意差が見られたという(0〜6ヶ月;P=0.04、7〜12ヶ月;P=0.02)(図2)。
図2. 自覚的運動強度(ボルグ指数)
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グループ |
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試験期間 |
強度 持続性 |
強 長 |
中 長 |
中 中 |
強 中 |
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0〜6ヶ月 |
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12.7 |
12.0 |
11.6 |
12.8 |
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7〜12ヶ月 |
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13.3 |
12.0 |
12.1 |
13.3 |
運動強度の影響は心拍数にも見られた(0〜6ヶ月;P=0.49、7〜12ヶ月;P=0.06)(図3)。
図3. 運動時の心拍数(回/分)
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グループ |
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試験期間 |
強度 持続性 |
強 長 |
中 長 |
中 中 |
強 中 |
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0〜6ヶ月 |
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127.4 |
117.0 |
120.2 |
128.7 |
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7〜12ヶ月 |
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137.5 |
115.8 |
126.5 |
136.3 |
余暇活動と摂取エネルギー量には、グループ間で差はなかった。
実験後、全てのグループで体重は有意に減少した(「強度;強/長さ;長」群Δ8.9kg、「強度;中/長さ;長」群Δ8.2kg、「強度;中/長さ;中」群Δ6.3kg、「強度;強/長さ;長」群Δ7.0kg、P<0.01)が、グループ間で減少量の差はなかった。BMIについても同様の結果が得られた(「強度;強/長さ;長」Δ3.4kg/m2、「強度;中/長さ;長」Δ3.1 kg/m2、「強度;中/長さ;中」Δ2.4kg/m2、「強度;強/長さ;長」Δ2.5 kg/m2、P<0.001)。
有酸素能力は全てのグループで、6ヶ月目、12ヶ月目ともに実験開始時よりも有意に向上したが、運動強度および長さの効果に関しては、グループ間で差はなかった(運動強度の効果;P=0.11、長さの効果;P=0.35)。
12ヶ月の減量プログラムの後、参加者は実験6ヶ月目および12ヶ月目に行っていた運動量によって4つのグループ((1)6ヶ月目も12ヶ月目も一週間に平均150分未満(n=31)(「<150群」とする)、(2)実験6ヶ月目の運動量が150分/週 以上で12ヶ月目に150分/週 未満、または6ヶ月目に150分/週 未満で12ヶ月目に150分/週 以上(n=81)(「その他群」とする)、(3)6ヶ月目も12ヶ月目も一週間に平均150分以上(n=33)(「≧150群」とする)、(4)6ヶ月目も12ヶ月目も一週間に平均200分以上(n=51)(「≧200群」とする))に分けられ、運動時間の影響が調べられている。グループ間の運動時間には有意差が見られた(P<0.05)。
≧200群における実験12ヶ月目の体重減少量(Δ11.6kg)は、<150群(Δ3.8kg)およびその他群(Δ6.1kg)に比べて有意に多かったが、≧150群(Δ8.5kg)の減少量は他の群との差はなかった。
≧200群における実験12ヶ月目の有酸素能力(Δ26.2%)は、<150群(Δ11.3%)およびその他群(Δ13.6%)よりも有意に向上した(それぞれP=0.007、P=0.003)。≧150群(Δ18.9%)では他の群との差はみられなかった。
エネルギー摂取量は4群で差はなかった。全体平均で実験開始時2118kcal/日、6ヶ月目1480kcal/日、12ヶ月目1456kcal/日であった。
V.まとめ
ジャキシックらのデータから、エネルギー摂取量を抑え、中程度から長い運動を行うと12ヶ月で8〜10%の減量ができることが伺える。また、運動時間が同程度の場合、運動強度が強くても中程度でも体重減少量はほぼ違わなかったので、強度は減量に関係がなさそうだ。ところが、単純に運動時間だけで分析した場合、12ヶ月のプログラムでは運動時間が多いほど体重減少量も多くなった。研究結果から、肥満女性の長期減量には、運動強度中程度の運動を継続的に一週間150分以上、可能であれば一日60分(すなわち現在米国アカデミー医学研究所が推奨する量)行うようにするのが効果的だと、ジャキシックらは結論づけている。
引用文献:
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